事件は前回まででほぼ解決しており、最終回の大半はエピローグという位置付けなんだろう。それにしてもすばらしい作りである。韓国製映像作品はとっくに本邦映像作品の及ばないクオリティになったんだろうという印象を持った(本邦の作品を熟知しているわけではないのですが)。
この最終回で確認しておくべき結末はいくつかある(以下はスポイラーを含む)。権力者の妻として権力を恣(ほしいまま)にしたチョン・ナンジョンの処遇については処罰する側も苦心を重ねた様子が描かれており、これはおそらく現実の問題意識を反映しているのだろうと思う(法学の理論から見て興味深い問題なのかどうかは知らん)。チョン・ナンジョン自身は何らかの官職に就いていたのではなく、したがって彼女の行為は何の罪にあたるんだろうか?という話である。とは言っても、俺は韓国の大統領に介入した素人(「崔順実ゲート事件」と言うらしい)を引き合いに出して揶揄したいのではなくて、本邦で起きた事件についての大きなヒントになっているということを指摘しているのである。
すなわち、本ドラマの持つ問題意識は、ファーストレディ(首相夫人)といった公職なのかどうか不明な地位によって森友学園に8億円値引きするよう行政に介入した、現代本邦のチョン・ナンジョンはどのように処刑が可能か? といった問題に我々がどう対峙すべきかへのヒントになっているということである。15世紀の李氏朝鮮と同様に拷問すればよいと言っているのではないが、チョン・ナンジョンの顛末を見て、また韓国での最近の大統領への訴追を見た上で「安倍昭恵は無罪である」などと抜かす人間はただの王党派なので安倍昭恵もろとも処刑するのが適当であることは論を待たない。
NHKがどういう意図で流しているのかは知らないが、「海外の優れた映像作品を紹介する」という仕事には一定成功しているように思われる。権力に蹂躙されてしまわず、基本的人権の主体であることを徹底的に主人公に(ひいては視聴者に)自覚させる教育的なシナリオなんて果して本邦に存在するか?存在するならぜひとも教えてくれ。
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